総務部門の業務とDX

「総務の仕事」と聞いて何が思い浮かびますか?備品・車両の管理やオフィス環境の整備、システムの運用保守…。実に幅広い業務を担っていると言えるのではないでしょうか。今回はそんな総務の仕事を今一度見直し、総務DXの実現と新たなミッションを考えます。

総務部門の全体像

「総務部門」と一言に言っても、その役割は多岐にわたります。まずは、総務の仕事の全体像をつかむために、以下の図でそれぞれの役割を確認しましょう。

総務の主たる役割

 総務的役割 
備品・車両管理/オフィス環境の整備/広報・渉外/規程作成/従業員の健康管理/防災・防犯…

他部門に属さない
仕事の積極的支援

 法務的役割 
企業間の契約管理(契約法務)/株主総会や取締役会の運営(商事法務)/ M&A 等のサポート(戦略法務)/法令遵守のチェック機能…

コンプライアンス
の強化

 システム的役割 
バックアップ管理・ウイルス対策(運用保守)/障害対応/社内ネットワーク構築/保守契約の締結

社内の情報管理
システムの活用支援

必ずしも以上の役割が全ての会社に当てはまるわけではありません。会社の規模などによっても、総務部門の位置づけや役割は異なっています。これらに加えて「経理的役割」や「人事的役割」を担うこともあれば、法務部門やシステム部門といったように、役割ごとに部門を分ける場合もあります。

総務部門は会社全体における「縁の下の力持ち」であり、経営陣も含めた各部署との接点を持った重要なポジションです。だからこそ全社的な視点、場合によっては経営的な視点が求められるとも言えます。総務部門のDX が会社全体のDX 推進につながると言っても過言ではありません。

総務におけるデジタイゼーションとデジタライゼーション

総務部門の全体像を把握していただいたところで、総務の仕事におけるデジタイゼーションとデジタライゼーション施策をご紹介します。

デジタイゼーション
▶クラウドシステムの導入によるテレワークの推進と、それに伴うABW
 (社員が自律的に働く場所や時間を選択できる自由な働き方)の実現
 ➡モチベーションと生産性の向上
▶スキャン機能や電子契約を利用した契約文書など各種文書の電子化によるペーパーレス化の実現
 ➡郵送費・印紙税などのコストと工数の削減、オフィススペースの確保
▶電子データの把握と整理、それらを保全するためのセキュリティ基盤構築
 ➡データ管理の徹底による安全性確保とそれによる信頼向上

デジタライゼーション
▶車両や備品、資産の管理をクラウド化し、システムと連携
 ➡確実な運行安全管理の実現や適切な備品管理による財務強化
▶RPAやチャットボットの導入による各種業務の自動化
 ➡契約やデータ入力にかかる工数を削減、社内外からの問合せ への迅速な対応
▶業務の明確な把握とBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)可能業務の選別
 ➡よりフロントオフィスに近い、コアビジネスへのコミットメント

総務DXの実現に向けて

総務DXに期待できる効果や総務DXの実現に向けて活用できるITツールを確認していきます。

総務DXの効果

◎業務効率の向上
デジタル技術を活用することで、コストや時間の削減が期待できます。ペーパーレスのフローを構築し、デジタルで完結させることが重要です。紙だと郵送等に費用や時間がかかりますが、電子データの場合はメールやクラウドで即座に授受や共有ができるため、効率的です。
◎財務基盤の強化
クラウドを活用して備品や資産の情報を可視化し、システムと連携することで、適切な管理が可能となり、結果として財務基盤の強化につながります。
◎生産性の向上
デジタルの活用によって工数が削減できた分は、よりフロントに近いコアビジネスに傾注できるという点が重要です。また、デジタル化およびクラウド化によってテレワークが推進され、社員のモチベーションアップにつながることが期待できます。
◎業務の可視化
デジタル化やクラウド化を進めていくことは、業務を可視化することにもつながります。業務フローの在り方を改めて見直す機会ともなり、各業務の属人性排除、クローズされた業務の開放を図ることができるでしょう。連携強化やコミュニケーションの円滑化という点も期待できます。

総務DXに役立つツール

◎電子契約システム/ 文書管理システム
 ➡ 契約プロセスの効率化、ペーパーレス化の実現
◎物品管理システム
 ➡ 適正な備品管理の実現
◎グループウェア
 ➡ ファイルやスケジュールなどの情報共有円滑化、テレワーク推進
◎チャットボット
 ➡ 問合せへの迅速対応、効率化

いくつかのITツールを挙げましたが、ここで注意が必要なのは、ITツールの導入が最終目的ではないということです。あくまで「ツール」であり、DX 実現を図っていく中で、これらを用いていくということに過ぎません。導入後の中長期的な視点での検討が必要です。

六甲商会はDX推進パートナーとなり、お客様のデジタイゼーションの見直しから始め、デジタライゼーションへのステップアップのお手伝いをいたします。